以前、社内SEとして人事システムの担当をしていた時のこと。
それまでの前任者はSEだけど人事出身の人で人事の部員からものすごく信頼されていた。
その人が会社の都合で移籍した。
残されたのは僕一人。
もちろんSEはたくさんいたんだけど人事のSEは僕一人。
そこで僕は一人で人事を訪れて「今度から僕が担当です。よろしくお願いします」と挨拶に行った。
そこでの待遇は正直冷たかった。
前任者に比べて信用は全然なし。
どうせSEなんてパソコンがさっぱり分からない私達の気持ちなんて全然分かんないでしょ?という態度。
そこからの僕は色んな選択肢があったと思う。
仕事だと思って淡々と業務をする事。
上司に相談する事。
僕がとった行動は、とにかく人事のメンバーと沢山話をする事だった。
本来の僕の仕事は人事システム(データベース、サーバ)の管理。
だけど僕は人事に度々訪れては色んな話を聞いた。
Excelの使い方が分からない。
給与計算が合わない。
給与システムの計算方法が自社に合わない。
文字化けする。
Windowsがフリーズする。
何でも相談を聞いて手伝った。
そしたらどうなったか。
毎日毎日、人事から電話がかかってくるようになった。
「ヤマモトさん、分からないんで教えてください。」
「ヤマモトさん助けて下さい」
すぐに行った。
「それは僕の仕事じゃないんで」とは言わなかった。
いつの間にか僕は人事の人気者になっていた。
最近、Dr.コトー診療所をFODで見てる。
島にやってきた天才外科医。
でも誰も彼を信用しない。
危険な病気になっている人に声をかけても信用しない、視せてくれない。
そんなコトー先生が少しずつ少しずつ仲間を増やし、気付いたら診療所は毎日満員になる心温まるストーリー。
僕はそんなコトー先生に憧れていた。
でも、実は僕もそれができていた。
正直に言って、人事の人気者でありながらも自分の上司はそんな僕が気に入らなく、もっと「人事みたいな地味な仕事でなく会社のために、自分の出世のために働いてほしい」と思ってたらしい。
おかげで意見の相違からパワハラに遭い、病気になったんだけどね。
でも後悔はしてない。
仕事で出世したい人にはこんな話、くだらないと思う。
でも、人間として仕事がしたい人は、とにかく努力と話し合い、思いやりだと思う。